パシュミナとは?
パシュミナ(Pashmina)とは、高級ウールとして有名なカシミヤよりも繊細で肌触りの良い、インドのカシミール地方に伝わる手織りの毛織物のことです。
しかしながら、現状では、本物のカシミール産のパシュミナは、ほとんど流通していないのが現状です。
※カシミール産のパシュミナは、『パシュミナ』という名称は同じでも、現在多く流通しているネパール産・中国産・モンゴル産のパシュミナとは原料も製法も異なる別の織物です。
※最近では、カシミール産パシュミナと全く同じスタイルに織られた、写真では区別ができないほど類似した製品がカシミール産パシュミナとして流通していますが、これも、本物のカシミール産パシュミナとは素材と製法が異なります。
実用的で便利なパシュミナ
パシュミナの肌触りの良さ、軽さ、保温性の高さは、それを使うものだけが理解することのできる大変素晴らしいものです。
カシミール産のパシュミナは、寒さの厳しい冬の防寒用としてご着用いただけるのはもちろんのこと、小さくて軽いので、春や秋の肌寒い季節にも気軽にご着用いただけます。
そして夏は、クーラーによる冷え過ぎ対策用としてオフィスなどで大活躍します。
※パシュミナは軽量で場所をとらないため、必要がなくなればバッグの中にコンパクトにしまうことができます。
カシミール産パシュミナの原毛はパシュンの冬毛
伝統的なカシミール産のパシュミナには、標高4000メートル以上のヒマラヤの高地だけに生息するパシュンの冬毛が使用されています。
※パシュンは、カシミヤ山羊の中でも、犬くらいの大きさしかない小柄なカシミヤ山羊です。 このパシュンの原毛は、採取の難しい希少なものです。
また、パシュンの毛はあまりにも繊細なため、機械によって糸を紡いだり生地を織ったりすることができません。そのため、カシミールでは、現在でも、パシュミナが完成するまでの全工程(72段階)のすべてを手作業で行っているのです。
※手作業で糸を紡ぐ段階から一枚のパシュミナショールが完成するまでには約1ヶ月の期間を要します。緊密に織られている場合は、より多くの期間が必要となります。
軽くて暖かいパシュミナの原毛
以前、パシュンの毛の採取を容易にするため、人里離れた高地にしか生息していないパシュンをカシミールの州都シュリーナガルに連れて来て飼育する試みがありました。
ところが、標高1600メートル程度しかないシュリーナガルに連れて来られたパシュンの毛は以前よりも粗雑になり、その年はパシュミナの原料となる良質な毛が採取できなかったのです。
そのためパシュンを再び高地に戻したところ、その翌年から以前と同程度の良質な毛が採取されるようになったということです。
このようにパシュミナは、標高の高い極寒の地に住んでいるパシュンだけに与えられた、軽くて暖かい特別な毛なのです。
パシュミナのグレードの違い
パシュミナの原毛であるパシュンの毛の中にもいろんなグレードがあり、繊細になればなるほどその品質は高く評価されます。 さらに、そのパシュンの毛からパシュミナ糸を手作業で紡ぎます。
このとき、それを紡ぐ人の技術により、そのパシュミナ糸は、極細になったり、細くなったり、あるいはやや太めになることもあります。
本物のパシュミナは必ず手作業で紡がれるため、その細さは厳密には一定しませんが、繊細かつ均一に紡がれたものほど高品質です。
そして、パシュミナ糸が繊細になればなるほど、一つのショールを織るために多くのパシュミナ糸が必要で、高度な技術も必要となります。
そのため、繊細なパシュミナ糸を使った場合、それを織る手間も余計にかかります。
※当店のパシュミナ100%製品には、繊細なパシュミナ糸が使用されていますが、製品により若干の違いがございます。繊細タイト織りタイプには、もっとも繊細なパシュミナ糸が使用されています。
1PLYと2PLYのパシュミナ糸の違い
カシミール産のパシュミナ100%製品には、通常、2本のパシュミナ糸をよって1本にした2PLYのパシュミナ糸が使用されています。これは、繊細で切れやすいパシュミナ糸の強度をより高めるためです。
※カシミール産パシュミナ100%の製品であっても、1PLYのパシュミナ糸が使用されていることがあります。
シルクパシュミナ製品の場合、一般的にはやや太目の1PLYのパシュミナ糸が使用されていますが、当店で現在販売中のシルクパシュミナ製品には、パシュミナの肌触りに近づけるため、2PLYの極細糸を使用しています。
高級なカシミール産の手織りパシュミナ
これまで見てきた通り、製作に多くの労力が費やされているカシミール産の手織りパシュミナは、大量生産することのできない希少価値の高いものです。
そのため、このカシミール産パシュミナは、高級な毛織物として有名な一般的なカシミヤ製品(※普通のカシミヤは、糸が太いため、機械による大量生産が可能)よりもはるかに高価です。
しかし、軽くて肌触りの良いカシミール産の手織りパシュミナには、その対価に見合うだけの価値があります。
このカシミール産パシュミナの価値は、単にブランドによって不可された価値とは異なり、その薄さ、軽さ、暖かさ、そして絶妙な肌触りなどの本質的な性能によって裏打ちされた真の価値なのです。
大自然から生まれたカシミールの芸術
カシミールは、雄大なヒマラヤ山脈、広大な高原、そして豊富な種類の草花など、大自然の美しさに恵まれた場所です。
またカシミールは、絵画や刺繍などの芸術や文化が盛んな場所で、そのデザインのほとんどはカシミールの美しい自然がモチーフになっています。
そして、そのカシミールの自然から生まれたカシミール芸術の典型はジャマワールでしょう。
最高級のパシュミナに最高級のジャマワール刺繍
当店のジャマワールやニームジャマワールなどの超高級カシミール手針刺繍ショールは、どれも一流のアーティストが丹精を込めて丁寧に刺繍した特別なショールです。
そのため、これらの刺繍の生地には、すべて高級なパシュミナが使用されています。
ちなみに、ジャマワールとは、カシミール独自の繊細で美しいデザインが、大きなショールの全体に濃密に刺繍された最高級刺繍ショールのことです。そして、このジャマワールこそ、カシミール芸術の最高傑作といっても過言ではないでしょう。
なぜなら、ジャマワールは、カシミールの自然をモチーフとした美しい独自のデザインをもっているからです。そして、ジャマワールほど壮麗かつ繊細な手針刺繍の施されたショールはカシミール以外のどこにも存在していません。
ジャマワールは一昔前まではマハラジャ(王族)への献上品の目的だけに作られていたものであり、現在でも、最高レベルのジャマワールの入手は非常に困難です。
その理由は、現在、最高レベルの刺繍を施せる特別なアーティストはほんの一握りしか存在しておらず、一人のアーティストが一生のうちに刺繍できるショールの数には限りがあるからです。
※繊細で濃密な最高レベルのジャマワール刺繍を施すには、熟練したアーティストであっても、数年もの長い期間を必要とします。
このように特別なアーティストによって丁寧に手針刺繍されたジャマワールは、芸術性・ファッション性・実用性を兼ね備えた最高のショールなのです。
その価値は工場で大量生産されているブランド製品とは一味も二味も違うものなのです。
いろんな種類のカシミール手針刺繍
カシミールには、ジャマワール以外にも、多くのタイプの手針刺繍ショールが存在しています。
ショール全体に刺繍の施されたジャマワールに一番近いニームジャマワール。それよりも刺繍の密度が少ないジャリダール。
ショールの片側だけに連続的に刺繍が施されたキープダール。 そして、ショールの両端の部分だけに刺繍が施されたパッラダール。
さらに、ショールのふちの部分全体に小さな帯のような刺繍が施されたハーシーダール。
その他にも、ショールのコーナー部分にポイント刺繍が施されたベイルダールやショールのところどころにポイント刺繍が施されたブーティーダールなど、さまざまなタイプのカシミール刺繍ショールが存在しています。
刺繍ショールに興味をお持ちの方は、超高級カシミール刺繍ショールのページやカシミール手針刺繍ショールのページをご覧ください。
パシュミナはプレゼントに最適
カシミール産のパシュミナは、ありふれた機械生産の製品と違い、手織りの味わいがあり、手触りも絶妙です。
このようなカシミール産の手織りパシュミナは、クリスマスのプレゼントやお誕生日のプレゼントプレゼントなどに喜ばれることうけあいです。
そして、素晴らしいアーチストたちが多くの年月をかけて手針刺繍を施したカシミール刺繍ショールは、ありふれた指輪、ネックレス、バッグなどとは違い、世界に一枚しかない本当に貴重なもの。特別な人へのプレゼントに最適です。
※製品によっては、その手作りの性質上、多少の織りムラ、キズ、色ムラなどが生じることもございます。
また、標準サイズより大きくなったり小さくなったりすることもございます。手作りの証としてご了承くださいませ。